シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

悠斗を悠季くんに会わせることを考えていないわけではなかった。突然提案されて慌てているだけ。


『さすがにお子さまランチは食べないだろうけど、ご馳走してあげたいんだ。それぐらいはさせて? だめかな早百合さん』
『うん……そうね』
『僕、自分の子どもにも会えないまま死んじゃうのかな』
『えっ?』
『それは冗談だけど、このままだとそうだよね。早百合さんから見て、まだ僕は父親の条件を満たしてないのかな?』
『ううん。十分してくれている。悠斗に聞いてみるね』


*―*―*

悠斗は公立高校に進学してからも必死に勉強を続けていた。もちろん、友だちと遊びに行ったり、ガールフレンドを連れてきてお店でお茶したりなんてこともしていたけど、コツコツと何かに打ち込んでいた。

今日はバイトの子が休みになったので急遽お店を手伝ってもらっている。

とっくに抜かれた背はさらに伸びて悠季くんと同じくらいになった。肌が白いところも肩幅があるところも、髪がサラサラなところも。

もう、いいだろうか。
そろそろ、会わせるべきだろうか。

悠季くんも立派に仕事をして生きている。
悠斗も高校生として自立している。
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