浮気してるくせに平然な彼




 サナの思いは分かった。
 だけど、こんなの卑怯だ………


「じゃあ、精力剤飲んで陸に浮気しようって迫ったのかよ………」


「飲んではないけど、それくらいの気持ちだったって事」


 俺の気持ちも知らないで好き勝手話すサナ。


 …………それくらいの気持ちなワケないだろ。


「今の美羽の状況は、私の時と全然違うし。感情のまま行動してイイんじゃない??じゃあね」


 サナは言いたいことだけ言って電話を切ってしまった。


 『………切れた』と、橋本にゆっくりスマホを返す。


 ーーと、同時に俺の手が橋本の手に触れ、ドキッと強い欲望が俺の中を駆け巡る。


 ――くそ、手が触れただけでもヤバイ。


 ……………状況が違っても、そんな事をしてしまったら浮気は浮気だ。だけど、理性の止め方が分からない………


「橋本………」


 名前を呼び、ギュッと手を握る。


 ゴメン、今だけ握らせて………


 ………それでもやっぱりサナの考えは卑怯だ。


 俺は浮気なんてしたくない。
 全然、サナと同じ気持ちじゃない。





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