暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



「………………賢明な判断だ」


フッと笑うと男は光の射す方へ歩き出した。


弟は私の判断に凄く驚いていたが、理由を話すと理解し、わざわざ家に戻って荷物をまとめた物を手渡してくれた。


渡し忘れていたお土産をグラントに託すと、私はその男の乗っている馬車に乗り込む。


町を後にしてから思うことは、行きは半日も掛かったのに帰りは一瞬で、馬車の中は驚くほどに静かだったということ。

この男は一体誰なのか。

宮殿ではどんな仕事を任せられているのか。

宮殿に付くまでの間様々な事を考えてみたが、結局答えは一向に出なかった________。







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