言い訳~blanc noir~
思えば毛玉との付き合いも10年近い。
以前ほどの交流ななくなったにせよ、相変わらず“さおりちゃん”として毛玉のブログに目を通し、コメントを書き込む。
時折【クロと私とご主人様】を更新させる日もあったが、ここ最近はそれさえもしていない。
この数年でSNSはめまぐるしい進化を遂げ、スマートフォンから簡単に更新させたり閲覧が出来るようになった。
かつてはブログを書くだけのシンプルだったサイトもチャット機能が搭載され、ブロガーとの交流がタイムリーに出来る。
しかし毛玉とはそういったツールを使う事もなく、ただブログを書き、ブログを読み、コメントを交わすだけの付き合いだけが微妙に続いていた。
―――久しぶりにブログでも書くか。
五十嵐の話を聞きながら、和樹はそんな事をぼんやりと考えていた。
佐原の大阪出張の最終日の夜、二人は料亭を訪れていた。
「ブランノワールって言われました」
「ブランノワール? なんだそれは」
佐原が素っ頓狂な声を上げた。
「フランス語で白と黒。僕ってそんなイメージなんですか?」
「ああ、そうだな。昔は本当にシミ一つない真っ白なイメージだったがな」
金目鯛の煮つけを口にしながら佐原は呟くように言った。
「沙織さんが亡くなった後の椎名は……いや、なんでもない」
「なんですか?」
和樹が見つめると佐原はしみじみとした表情でぽつりと言った。
「行員としては非の打ちどころがない。ただ椎名の目はいつも泣いてるように見えるんだよ。それを見るのが辛くてな。白い部分をわざと黒く塗りつぶそうとしているように感じてたよ。うまく言えないんだが」
「黒にも白にもなりきれない中途半端な男ですね」
「でもまあ、沙織さんの分まで命をお前が預かったんだから。沙織さんのためにも幸せになれ。沙織さんは絶対に椎名の幸せを望んでると思うがな」
「―――そうですね」
沙織。
幸せってなんだろうな。
その答えが出ないままもう10年近く経ったよ。
以前ほどの交流ななくなったにせよ、相変わらず“さおりちゃん”として毛玉のブログに目を通し、コメントを書き込む。
時折【クロと私とご主人様】を更新させる日もあったが、ここ最近はそれさえもしていない。
この数年でSNSはめまぐるしい進化を遂げ、スマートフォンから簡単に更新させたり閲覧が出来るようになった。
かつてはブログを書くだけのシンプルだったサイトもチャット機能が搭載され、ブロガーとの交流がタイムリーに出来る。
しかし毛玉とはそういったツールを使う事もなく、ただブログを書き、ブログを読み、コメントを交わすだけの付き合いだけが微妙に続いていた。
―――久しぶりにブログでも書くか。
五十嵐の話を聞きながら、和樹はそんな事をぼんやりと考えていた。
佐原の大阪出張の最終日の夜、二人は料亭を訪れていた。
「ブランノワールって言われました」
「ブランノワール? なんだそれは」
佐原が素っ頓狂な声を上げた。
「フランス語で白と黒。僕ってそんなイメージなんですか?」
「ああ、そうだな。昔は本当にシミ一つない真っ白なイメージだったがな」
金目鯛の煮つけを口にしながら佐原は呟くように言った。
「沙織さんが亡くなった後の椎名は……いや、なんでもない」
「なんですか?」
和樹が見つめると佐原はしみじみとした表情でぽつりと言った。
「行員としては非の打ちどころがない。ただ椎名の目はいつも泣いてるように見えるんだよ。それを見るのが辛くてな。白い部分をわざと黒く塗りつぶそうとしているように感じてたよ。うまく言えないんだが」
「黒にも白にもなりきれない中途半端な男ですね」
「でもまあ、沙織さんの分まで命をお前が預かったんだから。沙織さんのためにも幸せになれ。沙織さんは絶対に椎名の幸せを望んでると思うがな」
「―――そうですね」
沙織。
幸せってなんだろうな。
その答えが出ないままもう10年近く経ったよ。