言い訳~blanc noir~
「椎名さん、こっちです」


 千尋が立ち上がり寝室の扉を開けた。


「失礼します―――」


 寝室に足を踏み入れた瞬間、この偶然はやはり単なる偶然ではない事を悟った。

 まるで遺影のように引き伸ばされた写真が木目のフォトフレームに入れられ出窓に飾られていた。

 グラスに入れられた水、そして、猫の缶詰と共に。


 その写真におさまる真っ白い毛並の猫―――。


「私がずっと可愛がってた猫なんです。もう1年半前に亡くなったんですけどね」


「名前は……」


 千尋がふわっと笑みを浮かべながら写真を見つめた。


「シロです」


―――嘘だろ……
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