言い訳~blanc noir~
「私、別れたくない」


「でもこのままでいても仕方ないだろ」


「少し時間おこう? 私……変わるから」


「俺の気持ちが変わるか約束が出来ないよ」


「それでもいい。時間を置けば椎名さんだってまた……。ね?」


 もうこれ以上の押し問答は精神的に疲れる。


「とにかくしばらく一人にしてくれないか?」


「わかった……」


「送るよ」


「……いい。自分で帰る」


 そして美樹は泣きながら部屋を後にした。

 引き止めて欲しい。美樹は心の中で何度も口にした。何度も何度も。

 それは和樹にだって伝わっていたはずだ。

 しかし、その感情にあえて目を向けようとせず、曖昧な関係のままで話を終わらせてしまった。


 もう美樹に気持ちが戻る事はない。


 そうわかっているくせにきっぱりと「別れてくれ」そう言い出せなかったのは、どう考えても自分の弱さと狡さでしかない。

 それも和樹は自覚していた。
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