生意気オオカミの虜

凛、待って……



「 ハァ… 凛、アイツ足早いんだった…… 」



私が必死に走ったところで歩幅も走ったとしたら追いつけない。

子供の頃は逆だった。

それなのに、追いつけないでいる。



あー!

私、バカだ……

なんであんなに怒ったの?

恥ずかしいわけでもないのに、なんで……



「 そうだ、電話してみよ 」



耳にコール音が何回も繰り返す。

またかけては留守電、それを繰り返した。

そして5回目。



凛、お願い……



スマホを耳に当て、祈るように目を閉じてコール音を聞いていた。

が、いきなりキュッと抱きしめられ目を開けた。



「 り、凛?」

「 そうだよ、俺だよ、悪い?」

「 電話、出てよ… 」



ほんとに、凛だ。



「 生の声のがいいだろ 」

「 生の? ふふ… 」



そうだね、凛の声好きだよ。



「 羽奈、俺がそばにいると迷惑?」

「 なんで? 迷惑なんて思ってないよ、たださっきは… 自分でもよくわかんない、だからごめんね 」



キュッと抱きしめる腕が力を入れた。



「 俺のだよ、羽奈は 」



あ~ 私はやっぱりバカだな。

こんな恥ずかしい事を、見知らぬ人に見られてても堂々と口にする凛を可愛いと思っちゃう。



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