大江戸ロミオ&ジュリエット

「志鶴殿……かたじけのうごさる」

尚之介が一礼した。

「では、わしは隣の部屋におるゆえ」

そう云って、帯刀は雪駄(せった)を脱いで縁側に上がり、回廊を歩いて行った。

「……お茶も差し上げられず、御無礼(つかまつ)ってござりまする」

志鶴は頭を下げた。

「いや……手前の方こそ、無理を申して悪うござる」

尚之介は恐縮した。

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