大江戸ロミオ&ジュリエット

「……あの返事を聞かせてもらえぬか」

しばしの沈黙のあと、尚之介が口を開いた。

「今夜、佐久間様が南町へ向かわれたと、そなたの兄から聞き及んだのだが」

尚之介の切れ長の澄みきった目が、志鶴をまっすぐに射抜いた。

「そなたの答えはもう、出ているのであろう」

心に染み込むように響く低い声で、尚之介が尋ねる。

志鶴は、こくり、と肯いた。


そして……口を開いた。

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