その瞳は、嘘をつけない。
食器の片付けを終えた後、無駄にシンクを磨いたり、
床も丁寧に水拭きしたり、
調理台をアルコール消毒してみたりと
思いつく限りのことをして時間を潰していたけど、
いよいよやることがなくなってしまった。

かといってこのまま秀くんがいるソファーやその横の食卓に行くのも気まずいし。
放っておいてお風呂に向かうのももっての外。

もういっそ、冷蔵庫内の掃除もしちゃおうかな。
年末なわけだし。
いやいやその前に換気扇のフィルターの付け置き準備しちゃおうかな。
五徳もみがー

「いつまでそうしてるんだ?」

びくん、って
音が出ないのが不思議なくらいに、肩が跳ねた。

「このまま大掃除でも始めるつもりか?」
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