その瞳は、嘘をつけない。
「で、聞きたいことがあるんだろう?」

話したいことがあると言われたはずなのに、どうして私が質問されるの?
こっちから口を開くのも悔しくって、無言を貫く。

弁解することがあるのはそっちでしょう。
話す気があるなら、聞いてあげる。

「不満たっぷりって顔だな。
じゃあ質問を変える。何から聞きたい?」

また質問だ。

でも、相手は敏腕と称されている(らしい)刑事。
きっと、だんまりを通す人に口を開かせるなんてお手の物なんだろう。

何から聞きたいかと聞かれると、
さらに混乱し始める思考。

お見合いのことも気になったけど、態度がおかしかったのはその前からだった。

「どうして、ここに来たの?」
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