その瞳は、嘘をつけない。
カウンターに戻ると、にかっと親指を突き上げた映見ちゃんに迎えられたけど、
それ以後の接客は映見ちゃん(とバイトの学生さん)に任せて、バックルームに引きこもることに。
彼が帰る時とか、どんな反応をすれば良いのかわからないし。

恥ずかしさで必要以上に上がってしまったテンションも、書類仕事をしていると少し冷静になれた。
そもそも彼の連絡先を知りたがっていたのは私ではなく映見ちゃんであり、
その理由も、映見ちゃんが警察官と合コンをしたいからであり、
そして、そのために彼を利用したくて私の連絡先を押し付けたって、彼にすごく失礼なことをしてしまったんじゃないかという思いに至り、恥ずかしさが消えていくと共に申し訳なさ、罪悪感が沸き上がってきた。

はあぁ
とため息をついて、デスクに頭を載せる。
面倒なことに巻き込まれちゃったなぁ。
合コンなんて行かなければよかった。

ずしりと何かが乗っかっているような倦怠感。
このもやもやを解消するためにも、甘い物でも買って帰ろうか、それともビールにしようかなぁなんて考えてしまう。
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