無敵の剣
壱は、女になれないじゃないか


私が男として振る舞うように
躾けられたのは


忌み子だから…





私が、男ならよかったのにと
両親は思っている



両親は、壱が好きで
壱さえいればそれでいい




私は、必死に自分の生き方を模索している

望み通り、自分に用意された道をいく
何でも手にし、手に入らないものがない


そんな壱を私が羨むのは、至極当然



なのに…



壱は、私みたいになりたいだと!?







「明日は、一緒に帰ろう!!!」









明日、2人揃っての休暇で実家に帰ることになっていた




だが、今

私の中に〝嫉妬〟という

醜い心が溢れている


止めようにも、どんどん溢れる





「私は、寄るところがあるから」





壱が、寂しそうにこちらを見る


プイッと目をそらす





「別々に帰ろう」











私は、なんて駄目な人間なんだろう
弟に嫉妬し、冷たく当たるなんて…














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