オオカミ弁護士の餌食になりました

 この人に、どう反ばくしろというのだろう。

 彼に触れられるだけで、見つめられるだけで、頭に浮かんでいた言葉はすべて溶けてなくなってしまうのに。

「……会社では、ダメです」

 そう口にするので精いっぱいだ。

 ほんの一時沈黙が流れて、香坂さんは私から手を離した。

「わかった」

 その言葉にほっとして顔を上げた私を、彼は逃がさないとでもいうように鋭く見つめ返す。そして、真剣な表情のまま言った。

「それなら今夜、俺の部屋で」





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