男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「私のミシェル、だいぶ待たせたか?」

「クロードさま、いいえ。私も今来たばかりです」
 

振り返りながら微笑んだミシェルは胸の辺りで組まれた手をそっと握る。


「それはよかった」
 

艶やかな髪にクロードは唇を落とすと、ミシェルを立ち上がらせる。


「食事にしよう」
 

ミシェルの腰に手を置きエスコートし、東屋の中へ進ませた。
 
 


クロードは食事をしながら、ミシェルを観察していた。

花に向かって屈みこんでいる姿を見た時、クロードはアベルの報告通りミシェルの元気がないように思えた。


(やはり一度、家で休ませよう)
 

ミシェルがふいにスープを飲む手を止めて顔をクロードに向ける。そして目と目が合うと、彼女は首を小さく傾げる。


「どうしたのですか……? あ、もしかしてお掃除のこと、怒っているのでしょうか……?」
 

ミシェルの空色の瞳が不安げに揺れる。


「そんな顔をするな。私は怒っていない。お前のやりたいことをさせてやりたいと思っている。それが掃除でも。しかし、ミシェル。その滑らかな手が痛むのは見ていられない」

「クロードさま……」
 

ミシェルは寛大な心で自分を見てくれるクロードに良心の呵責をひしひしと感じる。



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