男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「勝手なことをして、もうしわけありません。クロードさまにご心配ばかりかけてしまって――」

「ミシェル、私の心配はお前がここで幸せであるかどうかだ」
 

町で出会ったミシェルはもっと明るかった。本来の彼女らしさが今は失われている気がするクロードだ。


「家族に会いたいだろう。どうだ? 数日戻るか?」

「いいえっ!」
 

ミシェルは首を左右に振る。髪につけているリボンが揺れる。


「私はクロードさまのお側にいられることが幸せです。お妃になるためのお勉強に励みます」
 
今までと違う、空色の瞳に力強い光が見えた。クロードは口元を緩ませる。彼とて、ミシェルを家に帰したくない思いがあったのだ。


「ミシェル、わかった。お前の気持ちが嬉しい。愛しい娘だ」

「はい。立派なお妃を目指して頑張ります」
 

クロードには町で出会った時のような明るいミシェルにホッと安堵した。


「立派な妃か。お前なら民衆の気持ちがよくわかる偉大な妃になると確信している」

「えっ? そ、それは言い過ぎです」
 

ミシェルは戸惑いながら鈴の音を転がしたような明るい笑い声をあげた。


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