男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「はい。出かけにお父さまに大事な話があると呼ばれてしまいまして」

「そのような浮かない顔をされているのは、お小言でも……?」
 

そこにいる皆がイヴォンヌに注目するが、彼女は「その話は後ほど」と言って出されたお茶を一口飲んだ。

そんな歯切れが悪いイヴォンヌに、ミシェルは嫌な予感に襲われていた。

気になって美味しい焼き菓子も喉を通って行かない。


「ミシェルさま、このムースも味わってくださいな。我が家の自慢の一品ですのよ」
 

ピンク色をしたケーキをシャプリエ公爵夫人が勧める。


「ありがとうございます」
 

ミシェルは失礼にならないように微笑み、ムースをひと口食べてにして「とても美味しいです」と褒めた。
 
少し経ってシャプリエ公爵夫人がミシェルに庭を案内したいと申し出た。


「私もご一緒していいかしら?」
 

そう聞くのはイヴォンヌだ。


「はい。もちろんです」
 

他の三人は「おしゃべりとお茶を楽しんでいますから」と、そこに残り、ミシェルたちは庭へ出た。
 

公爵家の庭はきちんと管理されており、歩いている途中も庭師を数人見かける。


「こちらに噴水がありますの。時々森の小鳥たちが飲みに来てそれはそれは可愛いんですのよ」
 

シャプリエ公爵夫人の言葉にミシェルは世話をしていたニワトリを思い出す。


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