男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
気持ちを明るくしようとミシェルは、クロードとの夕食に着るドレスを赤にした。

 
部屋に現れたミシェルをクロードは抱きしめてキスをして、椅子までエスコートし座らせる。


「ミシェル、バラの花のようじゃないか」
 

クロードは微笑み、褒められたミシェルは口元を緩ませる。


「しかし、お前にはもっと淡く、上品な色が似あう」
 

ミシェルから笑みが消える。


「今……バラの花のようだと言ってくださったのに……私には似合わないのですね?」


(それなら褒めなければよかったのに……)
 

クロードは首を左右に振ってから食前酒を口にする。


「そうではない。その色を着たお前は美しく手に触れがたい気がする。優しいお前が消されている」

「それは……似合わないとおっしゃっているのです」

「ミシェル? どうした? バラの花のように棘があるぞ?」
 

クロードはグラスをテーブルに置いて、ミシェルの顔をじっと見つめる。黒曜石のような瞳で注視され、ミシェルは目を逸らしたくなった。


「シャプリエ公爵邸でなにかあったのか?」
 

尋ねられ、ミシェルは喉まで出かかった。


(話すなら今……よね……)


「ミシェル?」
 

真剣な表情のクロードが問いかける。



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