男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「……イヴォンヌさまを娶るとお聞きしたのです」
 

思い切って口にしたミシェルの声が震えていた。肩を落とし俯くミシェルにクロードの口からため息が漏れる。


「お前はどう思う?」
 

否定してくれると心の底で思っていたミシェルは、思いがけない言葉にハッとなり顔を上げる。


「ほ、本当のことなのですね……?」

「ミシェル、私はお前にどう思うか聞いたのだ」
 

クロードはもう少し自分の意見を言ってくれるミシェルに期待をしていた。しかし、ミシェルは涙が出てきそうなくらいショックを受けていた。
 
イヴォンヌは嘘を吐いていると安心させてほしかったミシェルだ。


「ミシェル、お前の考えを教えてくれ」
 
心が砕かれそうなくらいのミシェルにクロードは追い打ちをかけてくる。膝の上に置いた両手が震えてきてギュッと握る。
 
浅い呼吸をしてからミシェルは心に決めて口を開いた。


「私は……クロードさまの妻になれません」
 

クロードの双眸が見開かれる。


「ミシェル! なぜ逃げる!? お前は言いたいことを言っていない! 頭を冷やす必要があるな。明日、実家へ戻れ」

「家に……」
 

感情のない声でポツリ呟く。


< 257 / 272 >

この作品をシェア

pagetop