男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
翌日、ミシェルは王室の馬車に揺られていた。どんどん王城が遠ざかっていく。
 
侍女や衛兵の手前、水色のドレスを着ていた。
 
ロドルフに連れられてやって来た時の荷物はもともと少ない。

ミシェルはもうクロードの元へ戻ってこないのかもと、思いながらも、まだ途中の刺繍をしていた婚礼衣装を持ってきてしまった。


(着てもらうことがないと思っても仕上げたい……)
 

今朝、クロードに挨拶へ行ったが、領地の見回りで出かけてしまっていた。
 
ミシェルはもう一度振り返り、小さくしか見えなくなってしまった主塔を見つめた。


「すぐに陛下がお迎えに参りますよ」
 

ミシェルの対面に座るアベルだ。送り届けるようにクロードから命令されて馬車に乗っている。


「結婚前の息抜きだと思えばいいんです」

「……アベル侍従は……私がお妃になれると思っているのですか……? クロードさまを怒らせてしまったのに」

「はい。思っています。昨晩陛下は落ち着かない様子で、何度も部屋を出ようとされていましたよ」


アベルはミシェルに元気になって欲しくて、気休めではなく、本当のことを話した。


< 259 / 272 >

この作品をシェア

pagetop