男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
国王が執務室へ行ってしまうと、ミシェルとアベルの食事の時間になる。
侍従部屋で食べながら、アベルは浮かない顔をしていた。
「アベル侍従……どうかしましたか?」
いつもならパンをちぎって口に運ぶところだが、フランツのようにそのまま食べている。
「いや、お前ひとりでは心配で、考え事をしてしまった」
問いかけるミシェルにアベルは薄く笑う。
「ブラッサンス公爵のご令嬢と陛下はご結婚なさるのですか?」
「まだそれは決まっていない。まあ第一のお妃候補と言えるが。もう陛下も二十五歳だ。そろそろ世継ぎをもうけなければならない」
ミシェルは自分とは世界の違う話だと頷く。
「失敗しないように頑張ります」
「ああ。これも経験だ」
アベルは励ますように言って、ミシェルに早く食べるよう促した。
ミシェルはいつ国王が出て来ても大丈夫なように、執務室の横で待っていた。すぐ近くには国王を守る衛兵ふたりもいる。
彼らは侍従服を着ているミシェルに気にも留めないが、ちょっとした瞬間に気が緩まないよう彼女は静かに国王を待っている。
そこへクロードが執務室から茶色の短髪の青年を従えて出てきた。
侍従部屋で食べながら、アベルは浮かない顔をしていた。
「アベル侍従……どうかしましたか?」
いつもならパンをちぎって口に運ぶところだが、フランツのようにそのまま食べている。
「いや、お前ひとりでは心配で、考え事をしてしまった」
問いかけるミシェルにアベルは薄く笑う。
「ブラッサンス公爵のご令嬢と陛下はご結婚なさるのですか?」
「まだそれは決まっていない。まあ第一のお妃候補と言えるが。もう陛下も二十五歳だ。そろそろ世継ぎをもうけなければならない」
ミシェルは自分とは世界の違う話だと頷く。
「失敗しないように頑張ります」
「ああ。これも経験だ」
アベルは励ますように言って、ミシェルに早く食べるよう促した。
ミシェルはいつ国王が出て来ても大丈夫なように、執務室の横で待っていた。すぐ近くには国王を守る衛兵ふたりもいる。
彼らは侍従服を着ているミシェルに気にも留めないが、ちょっとした瞬間に気が緩まないよう彼女は静かに国王を待っている。
そこへクロードが執務室から茶色の短髪の青年を従えて出てきた。