男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「おじいちゃん……」

「お前が家に戻って来た理由は知っている。陛下からではなくアベルから報告を受けたんだ」
 

ロドルフは重々しく口を開いた。


「お前は陛下との結婚を甘く見ている。お前の愛はそんなものなのか?」

「……甘くなんて」
 

ミシェルの声は自信なさげに小さい。


「陛下のお気持ちは今の私にはわからないが、国の繁栄のためにわが国の国王は三人まで娶れるんだ。もしお前に子供が出来なかったらどうするんだ?」

「おじいちゃん……」
 

ミシェルは困惑して呟くような声しか出ない。


「世継ぎが出来なかったら、次の国王は誰に? 陛下はお前だけの存在ではない。それが理解できなければ結婚はさせられない」
 

ロドルフの皺のある顔は厳しい。


「でもっ、今回のパスカルさまのように諍いが起こるかも……」

「それは育て方が悪かったのだ。ひとえに母親のな。身分の低い妃はわきまえ、息子にもそう教育しなければならない。それが王室というものだ。パスカルさまのことは教訓になっただろう。お前は村娘だ。イヴォンヌさまには勝てない」

「おじいちゃん! 勝つとかじゃないの。もちろんすべてにおいて私はイヴォンヌさまの足元にも及ばない。私はただクロードさまを愛しているだけなの」

「陛下の愛をひとり占めしてはいけない」
 

その言葉はミシェルの胸を鋭く突いた。


< 263 / 272 >

この作品をシェア

pagetop