男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
服を変えると、城のことは夢みたいに思えてきた。

 
狭い部屋が以前は嫌だったが、今は心地よく感じる。
 
扉が叩かれ、マリアンヌが顔を覗かせた。


「冷たいお茶を持ってきたわ」

「お母さん、ありがとう」
 

部屋の中へ入って来たマリアンヌは机の上にグラスを置くと、ベッドに腰を下ろす。


「ミシェルが愛した人はどんな人? 話してくれる?」
 
マリアンヌは自分の隣をポンポンと叩いてミシェルを座らせようとする。


「あ、衣替えしてくれてありがとう」

「素敵なドレス、脱いじゃったのね」

「ここでは動きずらいし。あちこち引っかかっちゃうから」
 

ミシェルは掛けた水色のドレスを見て微笑む。クロードと初めてダンスをした時に着たドレスだ。
 
あの時のことを思い出してしまい、ミシェルの口から小さくため息が漏れる。


「クロードさまは、それはそれは……驚くほど素敵なの。黒髪に黒曜石のような瞳で。優しくて……私が男装していたことも怒らなかったわ」

「陛下の慈悲は感謝しているわ。お父さんはあなたのことで王城へ行く時は悲痛な顔をして行ったけれど、帰って来た時はとても嬉しそうだったの。陛下は私たちを幸せにしてくれたわ。里帰りさせてくださった陛下に感謝しているわ。それにたくさんにお土産も」

 
マリアンヌの感謝にミシェルはコクッと頷く。


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