男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
イヴォンヌに指摘され、クロードは初めて気づく。

フランツは珍しいシルバーブロンドで、ひと目でパスカルの興味を引いてしまうだろう。
 
クロードが考えていると、イヴォンヌは続ける。


「本当に見事な御髪の色ですわね」
 

イヴォンヌは同意を得るようにクロードに微笑む。
 
そんなふたりの会話をミシェルは心臓を暴れさせて聞いていた。


(私の話はしないで欲しい……)


「でもわたくしはクロードさまの漆黒の御髪が一番素敵だと思っています」
 

イヴォンヌは恋する乙女の瞳でクロードを見つめた。その瞳は女のミシェルから見てもドキッとしてしまうほど魅力的だった。


(陛下にはイヴォンヌさまがお似合いだわ……)
 

ミシェルはそう思う自分に胸の痛みを感じていた。


翌日。
 
今日はクロードと約束した日だ。待ち合わせの時間は正午。
 
昨晩まで行かないと決めていたミシェルだが、目が覚めてみると、クロードに会いたい気持ちが強くなっていた。


(クロードさまに会いたいのではなくて、町のお祭りを見たいのよ)
 

ベルナディス国は花の栽培が有名で、今日は花祭りだ。色々な花をたくさん乗せた何台もの山車が見られる。


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