溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「うん、全然大丈夫! むしろ仕事中にごめんね」

手術後で疲れているのに、玄関までとはいえ申し訳ない。

「仕事、頑張ってね」

何気なく発した労いの言葉。だけど佐々木君は目を丸くさせた後、嬉しそうに口角を上げた。

「ありがとう。……佐野に頑張ってって言われたら、なんでもできそうな気がする」

「えっ!?」

「それだけ俺にとって佐野の言葉は、パワーになるってことだよ」

サラリと恥ずかしいセリフを言うと、佐々木君は私から離れながら「記事について詳細がわかったら連絡して」と言い、足早に戻っていった。

「……もう」

彼の姿が見えなくなって漏れた溜息交じりの声。

言われて恥ずかしくて、佐々木君がいなくなった今も顔は火照ったまま。……でもそれ以上に嬉しいと思う自分がいる。

「あ、写真」

手にしていたスマホを見ると、そこにはやっぱりカッコよく写っている佐々木君と、彼の隣で顔全体から緊張が伝わってくる私の姿。

「……やっぱり」

この写真が佐々木君のスマホにも入っているのかと思うと、複雑な気持ちになる。こんな写真で癒されるの? もしかして笑って癒されるって意味?

あり得る話に顔が引きつる。
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