溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
笠井君が感じた気持ち、痛いほどわかる。だって私も同じだから。……私も薫ちゃんと佐々木君を会わせたくないって思ったから。

あれ……。じゃあやっぱり私が抱いた感情はヤキモチなの?

「佐野先輩?」

混乱する私に掛けられた声に、「ごめん、なんでもない」と笑顔を向けるものの、すぐに消えていく。

「本当にすみませんでした」

それを勘違いした笠井君は、再び深々と頭を下げて謝罪してきたものだから、慌てて手を左右に振った。

「ごめん、違うの。怒っているんじゃなくてその……」

なんて言えば誤解が解けるんだろう。怒っているんじゃないのに。

「ただね、笠井君が羨ましいっていうか……」

「羨ましい、ですか?」

捻り出した言葉に笠井君は眉根を寄せる。

「なんていうか……自分の気持ちをしっかり理解して、向き合っているんだなーって思って」

好きだから薫ちゃんが佐々木君のことをカッコいいと言うのが面白くなくて、会わせたくないと思ったんでしょ?

それをしっかり嫉妬だと認めて謝罪できて……私とは大違いだ。

「どうしたんですか急に」
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