溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
するとおばあちゃんは佐々木君の邪魔をしないよう、小声でコソッと耳打ちしてきた。

「環奈、後で佐々木先生にお礼を言っておいて」

「えっ?」

「佐々木先生、昨夜夜勤だったのよ。それなのに早く環奈におばあちゃんの検査結果のことを話したいからって、仕事をしながら待っていてくれたの」

「嘘……」

そのまま視線を彼に向けると、どうやらおばあちゃんの声が佐々木君の耳にも届いていたようで、困った表情を向けた。

「岡本さん、言わない約束でしたよね?」

「あら、そんな約束をした覚えはありませんよ」

情けない顔の佐々木君に、おばあちゃんはクスクスと笑う。

「佐々木先生、私が退院した後もどうか環奈と仲良くしてやってくださいね」

おばあちゃんが再び深々と頭を下げてお願いした内容にギョッとなる。

「ちょっとおばあちゃん!」

小声で抗議するものの、おばあちゃんは顔を上げてニッコリ笑う。

「どうしたの? 慌てちゃって。だって環奈も寂しいでしょ? おばあちゃんが退院しちゃったら、佐々木先生と今のように会えなくなるんだもの」
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