溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
いくら遠く離れて暮らしているといったって、そんなの家族って言える? 私にとって家族は両親とおばあちゃんだった。

でも今は違う。亡くなったお母さんとおばあちゃんだけ。

「ごめんね、なかなか環奈に言いづらくて」

「あ、ううん。私の方こそごめん。……むしろおばあちゃんが入院したこと、私から連絡するべきだったよね」

平静を装い、羊羹を口に運ぶ。

甘くて美味しいはずなのに、あまり味を感じられない。

「お父さんたち、元気だった? 変わりないって?」

明るく尋ねると、おばあちゃんは頬を緩めた。

「えぇ、三人とも変わりないって。おばあちゃんのこともすごく心配してくれたわ。……それと環奈のことも気にかけていた」

「……そ、っか」

気にかけていたって言ったって、そんなの建前でしょ? 私にとって家族はもう亡くなったお母さんとおばあちゃんのように、お父さんにとっての家族は新しいお母さんと妹だけでしょ?

そんな皮肉めいたことを思っていると、おばあちゃんが言いにくそうに言った。

「それでね、隆一さん……おばあちゃんのことを気遣ってこっちに来てくれるっていうのよ」

「――え」

お父さんが来る……? 嘘でしょ?
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