溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
そんな思いが家で態度に出ていたと思う。お父さんも新しいお母さんもまるで腫れ物を扱うように私に接していたから。

その中で彩音だけは違った。私を『お姉ちゃん』と慕い、家でべったりくっ付いてきて。

そんな彩音が可愛いと思う反面、素直になれない私はどこか彼女と距離を置いていたと思う。

そのままお父さんの転勤が決まり、それ以来会っていない。そんな彩音が来る……?

呆然となる。

「やっぱり断りましょうか。おばあちゃん、ひとりでも平気だし環奈がいてくれるしね」

私を気遣い、明るい声で言うおばあちゃんに心が揺れる。

本音を言えば、会いたくない。……でも彩音、こっちで就職するなら下見は必要だろうし、それに退院できたといっても、おばあちゃんの体調は万全ではない。

しばらく定期的な通院が必要だし、日中、私が仕事でいない間のことが心配でもあったから。

「そうとなれば、隆一さんに断りの電話をしておかないと」

そう言いながら立ち上がったおばあちゃんを慌てて止めた。

「おばあちゃん待って!」

そのまま私も立ち上がり、おばあちゃんの元へ向かう。
< 144 / 279 >

この作品をシェア

pagetop