溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
次の日。約束の時間は十時だけれど、いつもより早く目が覚めてしまった。

でも時間はいくらあっても足りない。朝食を済ませた後、ぬるま湯で顔を洗い、念入りにメイクを施していく。

そして昨日買った服に腕を通して髪をセットし、鏡でおかしなところはないかチェックを終える頃には、約束の時間の十五分前になっていた。

「嘘、もうこんな時間!?」

急いでバッグを手に玄関へと向かう。するとおばあちゃんが居間から顔を覗かせた。

「あら環奈、今日はずいぶんオシャレしているじゃない?」

「そう? 普段通りだと思うんだけど……」

ギクリとなりながらも、平静を装い、昨日買ったサンダルを履く。

「出かけてくるね、夜には帰ってくるから」

「わかったわ。でも別に遅くなっても構わないわよ? もちろん泊りも。ちゃんと連絡だけしてくれれば」

にっこり笑って言うおばあちゃんには、どうやら今日佐々木君と出掛けることがバレているようだ。

「大丈夫、そんなことないから!」

好きって伝えるだけでいっぱいいっぱいだもの。

「じゃあ行ってきます」

「はい、気をつけてね」
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