溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
今から行くと環奈にメッセージを送り、足早に向かっていく。けれど居酒屋が近づけば近づくほど、不安に襲われる。

環奈はもう先生と会っているよな。……俺のいない間に、ふたりでなにか話したりしたのだろうか。

そう思うと気が重くなるが、すぐに気持ちを切り替えた。

せっかくみんな待ってくれているんだ。楽しまないとだよな。

薄暗い夜道を進んでいくと、見えた居酒屋。けれど店先にいるふたりの人物に足は止まり、思わず電柱に隠れてしまった。

「別に一緒に待っててくれなくてもいいんですよ?」

「教師として、生徒をひとり夜道に放っておくわけにはいかないだろ?」

店先にいたのは、環奈と昔より男の色気が増した先生だった。

どうしてふたりっきりなんだ? しかも外で。

せっかく気持ちを切り替えたというのに焦りを覚える。

ふたりのことが気になり、俺は物陰に身を潜めふたりの話に耳を澄ませた。

「よかったな、この前会った時は死にそうな顔をしていた分、佐野から話を聞いて先生も嬉しくなったよ」

「……その節は本当、ありがとうございました」

深々と頭を下げる環奈。
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