溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「環奈先輩、お電話です」

「了解、何番で誰から?」

仕事のやり取りで一日に何件も電話がかかってくる我が社は、外線が五番まである。点滅しているのは一番から三番だった。

再び腰を下ろし、薫ちゃんの答えを待つものの、なぜか彼女は小首を傾げている。

「どうかした?」

尋ねると薫ちゃんは言いにくそうに言った。

「あ、はい。あの……三番なんですけど、相手がその……光山商事に宮本さんっていう男性の方なんですけど……」

「え、光山商事の宮本さん?」

話を聞いて私もまた首を捻る。

それは私たちの仕事と関係のない商社で、相手にも心当たりがないから。

「どうしますか? もしかしたら変な電話かもしれませんし、編集長に出てもらいますか?」

電話の相手を怪しむ薫ちゃんに、ハッとする。

「ごめん、薫ちゃん! 大丈夫、知っている人だから」

「え、お知り合いですか?」

「うん、電話ありがとう」

滅多に聞かない会社名にフリーズしちゃっていたけれど、よくよく思い出せば光山商事は砂羽の元勤め先。……そして男性の宮本さんっていったら、砂羽の旦那さんだよね?

すぐに三番を押し電話に出た。
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