溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「お待たせしました、佐野です」

すると電話越しからは、たどたどしい声が聞こえてきた。

『あ、突然のお電話申し訳ありません。……私、砂羽の夫の宮本です』

「……はい、こんにちは」

やっぱり砂羽の旦那さんだった。きっと砂羽のことで電話をかけてきたんだよね。

『お忙しい中、すみません。……砂羽から佐野さんのことを勤め先などよく聞いておりまして、お電話させていただきました』

「そうだったんですね」

すごく丁寧な言葉遣い。結婚式の時も思ったけれど、大人で紳士な素敵な人だったよね。

『はい、それでその……大変お恥ずかしいお話なのですが、砂羽と喧嘩してしまいまして……。彼女、そちらに伺っていないでしょうか?』

恐る恐る聞いてきた声は心なしか震えている気がする。

その声を聞き、口元が緩んだ。

砂羽、旦那さんはちゃんと砂羽の気持ちを理解してくれているんじゃないかな。でなかったら、こんな風に恥も忍んで私のところに電話をかけてこないと思う。
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