溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
すっかり昔の調子でデレる砂羽に、聞かされているこっちは『ごちそうさま』状態だ。

『だから時短で元職場で働けないか、聞いてみようと思って。……彼と部署は違っちゃうと思うけれど、他の部署にも気心が知れた友達もいるし』

「そっか、よかったね」

なにはともあれ、砂羽が幸せそうでなによりだ。

『それで今度改めてうちの人が、環奈にお礼を言いたいっていうんだけど……』

「え、そんないいって」

『いいから今度食事に行こうよ。……できれば佐々木も一緒にさ』

砂羽の口から出た彼の名前に、ドキッとしてしまう。

「どうしてここで佐々木君が出てくるのよ」

平静を装って聞くと、彼女はからかい口調で言う。

『それはもちろん親友として幸せになる恋を応援しているから。……この三日間、ずっと気になっているんでしょ? 佐々木のこと』

「それは……」

口籠った後に気づく。これでは図星ですと認めているようなものだと。

『私から見たら、どうして環奈はそこまで頑なに佐々木の気持ちを信じようとしないのか理解できない。……それに思っていることはちゃんと伝えないと。私みたいに早とちりして自己完結していたら、なにも変わらないと思わない?』

砂羽に言われると返す言葉が見つからなくなる。
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