溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
そうだよ、まずは自分の気持ちを伝えないことにはなにもはじまらない。

だって私、佐々木君に自分の想いをなにも伝えていないもの。

「ありがとう、砂羽。今日、佐々木君に会ってくる」

そうと決めたら早く仕事を片づけないと。

電話をしたままオフィスへと戻っていく。

『うん、行ってこい! ……まぁ、私は悩む時点であんたは佐々木のことが好きだと思うけど』

「…………えっ!?」

耳を疑うようなことを言った砂羽に足は止まり、廊下中に私の大きな声が響いた。

「な、なにを言っているの? 私、そんなこと一言も……っ」

『えー違うの? 私は毎年あんたから佐々木の話を聞かされるたびに、好意を抱いていると思っていたけど? でなかったら、告白されてウジウジ悩まないんじゃないの?』

私の声を遮り、鋭い指摘をしてきた砂羽は続ける。

『少なからず環奈の心の片隅には、佐々木の存在があったんだよ。でなかったら、毎年思い出したりしないと思う』

「そんなまさか……」

言葉を失う。自分の気持ちなのに、わからなくなる。
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