溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「それはとても落ち込んでいらっしゃったわよ? だからてっきり環奈と喧嘩したものだとばかり思っていたんだけど、違った?」

おばあちゃんに聞かれても答えられなくなる。

私……最低だ。自分のことばかりで佐々木君の気持ちを考えていなかった。

佐々木君は再会してから二度も私に気持ちを伝えてくれた。砂羽のいる前でも。それなのに私は? 信じられないとか、からかわれているだけかもしれないとか、理由をつけて避けていた。

もし逆の立場だったら? 好きな人に告白したのに信じてもらえず、避けられたらどんな気持ちになる?

考えただけで胸が苦しくて辛くなる。私は佐々木君にそんな思いをさせていたんだ。

なにやっているんだろう、私。ひとりで勝手にウジウジ悩んでいる場合じゃなかった。思っていること、感じたことすべて佐々木君にぶつければよかったんだ。

「おばあちゃん、佐々木先生はまだいる?」

居てもたってもいられず聞くと、おばあちゃんは眉尻を下げた。

「残念だけど、環奈が来る前に病室に来てくれて、今日はもう帰るって言っていたわ」

「……そっか」
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