冷徹王子と成り代わり花嫁契約

「……その中身を破壊することができれば、レッドフィールド王国は王位継承が出来ず、破滅を迎える」

「どうして?親交のあった国だったんでしょう?」


少なくとも、今も貿易が続いていたということは国王同士の仲は良好だったはずだ。

それなのに、何故。


「あの国が……その《血印の書》がある限り、ロゼッタは契約に縛られる」


レッドフィールド王国の王子と婚姻契約を結ぶ際に、レガリアに施された、血の封印。

それは婚約者である女性にしか解くことが出来ない。

それが解かれるのは、結婚の儀式の時だ。
つまりは、何があってもその約束を破ることは出来ないのだ。


「あなた、本当にロゼッタのことを愛していたのね」


私が静かな声でそう言うと、クリストフ王子は一瞬の動揺を見せて、落としかけたサーベルを握り直した。

瞬間――銃声が響いた。


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