恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

「あっ殿下、あれは何でしょう!」

遠く離れた異国の地から届いた陶磁器や絨毯、食器を見るたびに鳴鈴は駆け出していく。

飛龍は大股で歩き、彼女から一瞬たりとも目を離さないように気をつけていた。

「殿下、殿下、この子すごいんです! 人の言葉をしゃべるんですって!」

頭に布を巻いた商人の腕に、大きな鳥が乗っていた。体は白く、頭の上から後ろに黄色の羽根が伸びている。くちばしは黒い。

「……不気味だ」

思わず飛龍が零した言葉を、鳥は掠れたような高い声で繰り返した。

『ブキミダ、ブキミダ』

「本当にしゃべった! 殿下、もっといい言葉を教えてあげてくださいな」

「この子頭いいヨ。オウムっていう。本当は何度も繰り返し教えないと喋らないけど、この子は一度で覚えるヨ」

異国人らしい、肌の色と顔立ちが濃い男がにこにこと笑う。

「いい言葉だな。よし……」

はしゃぐ鳴鈴にねだられ、飛龍はこほんと咳払いし、真面目な顔で言い放った。

「鳴鈴、愛している」

鳴鈴はごくりと唾を飲み込んだ。戯れだとわかっていても、胸が大げさに飛び跳ねる。

(愛している、ですって! ああオウムさん、忘れないうちに繰り返してちょうだい)


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