恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜


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黙って話を聞いていた鳴鈴は、いつの間にかぽろぽろと涙を流していた。

「ひどい……」

両手で顔を覆って泣きだす鳴鈴の肩を、飛龍がそっと抱く。

「お前が泣かなくてもいい」

それでも鳴鈴の涙は止まらない。

幸せになるはずだった雪花の無念を思うと、胸が茨で締め付けられるようだ。

梁家の粛清というのは聞いたことがあったが、詳しくは知らなかった。

両親も、聞かせたら鳴鈴が怖がるだろうと思い、聞かせなかったのだろう。なにせ、当時鳴鈴はまだ八歳の子供だったのだから。

「主上がその話題を嫌うから、貴族の間ではなかったことにされている。お前が知らないのも無理はない」

飛龍は穏やかに言って、鳴鈴の髪を撫でた。

「もう過去のことだ。雪花が俺や鳴鈴を呪うなんてことは、ないに決まっている。一連の事件は、ただ俺に心理的圧力をかけたいやつの仕業だろう」

死者が大人数になって矢を放ったり、毒入り菓子を届けたりするわけがない。鳴鈴は納得してうなずいた。

「では、梁家の生き残りが、逆恨みで……?」

「その線も考えないではないが、彼らは梁家の人間ということを隠して生きることに必死だろう。復讐する力が残っているとは思えない」

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