恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
そう言えば、八人いる皇子のうち、妃がいるのはまだたったの三人だったことを鳴鈴は思い出した。
長兄である皇太子と四男はすでに妃がいる。その他の皇子はまだ相手を厳選している途中だと、緑礼が教えてくれた。
一見平和で豊かに見える崔だが、実は北方の遊牧民族や西の異民族と諍いが絶えない。未婚の皇子たちはたびたび出兵して領地を開けるため、妃を迎える暇がなかったのだろうというのが緑礼の見解だ。
(それにしたって、二十九まで独身とは……)
鳴鈴は皇族が集まる亭を遠目から眺める。しかし、皇子は八人もいるし、皇太子とその妃もいるので誰が誰だかわからない。
「ねえ、あなたはどの皇子さまが目当てなの?」
「はい?」
隣に座った小麦色の肌の娘に問いかけられ、鳴鈴はすっとんきょうな声で返事をしてしまった。
「ここにいる令嬢たちはみんな、皇子さまとの縁談を取りつけたい子たちよ。もちろん、皇太子殿下の側妃になりたい子もいるでしょうけど」
親や家のためにね、と追加してその娘は囁いた。