恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

「あなたはどなたかお目当ての皇子さまがいるの?」

逆に聞き返すと、小麦色の令嬢は耳打ちするように答えた。

「第三皇子さまよ。末弟になればなるほど、権力が弱くなるじゃない」

考えてはいけないことだが、皇太子に何かあった場合、次に立太子されるのは順番から言って次男、三男だ。

「ならば星稜王さまの方がいいのでは?」

誰かが私の代わりに星稜王さまに気に入られれば、嫁入りを回避できるかも。そんな打算をする鳴鈴に、小麦色の令嬢は首を横に振って答えた。

「ううん、無理。私、明るく楽しく暮らしたいのよね。いつまでも女性として愛されなくちゃ嫌だし」

「はあ」

「星稜王さまは領主としては潔癖で評判はいいけれど、堅物すぎてつまらないって噂よ。それに結構年増でしょ。二十年して役に立たなくなったらどうするの。私たちその時代にはまだ三十代後半か四十代前半よ。女ざかりなのよ」

本人に聞かれたら不敬罪で断頭台送りになりそうなことをべらべら話す令嬢。

「役に立たないって? 五十歳くらいならまだ働けるし、役立たずってことはないのでは?」

きょとんと首を傾げた鳴鈴を見て、小麦色の令嬢は吹き出した。

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