恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
一通り食事を終えると、李翔は緑礼以外の者に外に出るように命じた。
「二兄、ここからが本題です」
李翔が珍しく真面目な顔で飛龍に向き合う。
「徐妃さまや徳妃さまを襲った下手人のこと、聞きました。しかし、どうもおかしいとお思いになりませんでしたか」
飛龍は一口水を飲んでうなずく。
「お前の思うことを言ってみろ」
「通り魔強盗の件は別にして、徐妃さまが刺されそうになって池に落ちたとき、そして今回の翠蝶徳妃さまの件。これらは皇城内で起きている」
李翔だけに任せておけないのか、うずうずした表情をしていた宇春が口を挟んできた。
「城壁は常人で乗り越えられるものではありませんし、それぞれの門には門番が立っている。あのような盗賊が入り込むのは容易ではありません」
「その通りだ」
「ですから、あの盗賊を城内に招き入れた者がいたと考えるのが自然ではないでしょうか?」
李翔が言い終わると同時、一瞬部屋が静まりかえった。
「たしかに、鳴鈴さまが池に落ちたのは花朝節の宴のとき。警備はいつもより手厚かったはず」
傍に控えていた緑礼まで、議論に参加しだす。