恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

「それだけじゃない。星稜王府にまで入り込んだのよ。それも、花朝節、その帰りにも襲撃、そのすぐ後に星稜王府毒菓子事件。時間的に、ひとりで全ての犯行を考えて実行したとは思えないわ」

「城下街での襲撃犯は、明らかに複数でしたしね。あれは仲間の盗賊の仕業かもしれませんが、毒菓子事件は怪しい」

鳴鈴と緑礼が顔を見合わせて真剣に話すと、李翔や宇春がしきりにうなずく。彼らを前に、飛龍が大きなため息をついた。

「わかっている。俺だってそれくらいのことは考えていたさ。そして主上も、それに気づいたから即処刑せず、尋問をしているんだ」

「だけどその尋問をするのが、どうして長兄なんです。あの人が今回の黒幕だっていう可能性もあるじゃないですか!」

声を荒らげた李翔を、飛龍が切れ長の目で睨む。すると彼はぐっと口をつぐんだ。

「滅多なことを言うものじゃない。どうして皇太子殿下が俺たちを狙う」

静かな低い声で言った飛龍に、宇春が答える。

「星稜王殿下が、あまりに美しく、頭もよく、武芸にも優れていらっしゃるからですわ。古斑との戦いを陛下は高く評価しておいでのようです。皇太子殿下が自分の立場を危ぶんで、殿下を害そうとしたのでは」

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