恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
(身内争い……)
友人夫婦が去って急に静かになった部屋に、重い沈黙が落ちていた。
鳴鈴も食器を下げる侍女たちを見ながら、ぼんやりと馬仁に思いを馳せる。
(あの人を身内争いに巻き込んで利用しようとしたなら、許せない)
もしそうなら、敵は飛龍の急所を見事に突いたことになる。過去の痛みを思い出させ、目立たぬよう無能な親王でいろと警告しているようだ。
「お前まで、そんなに怖い顔をするな」
緑礼がいるにも関わらず、隣に座った飛龍が鳴鈴の滑らかな頬を指で撫でる。
「お前だけは笑っていてくれ。それが俺にとって一番の薬になる」
事件はまだ終わっていない。この王宮で何かが起きていることを、飛龍も鳴鈴も感じていた。
言われた通り、ぎこちない笑みを浮かべた鳴鈴を、飛龍は抱き寄せる。
(何があっても、私が殿下を支えなきゃ)
広い胸の温度を感じ、鳴鈴はそっとまぶたを閉じた。