恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「二兄、聞いたか!?」
廊下の先から李翔が駆け寄ってきた。
「馬仁のことか」
飛龍が応じると、李翔は首を横に振った。
「それもだけど、もっと大変なことが起きている。なんと、萩軍が西端の城を狙って行軍してきているそうだ」
恐ろしい李翔の言葉に、鳴鈴は息を飲む。
宿鵬と飛龍が同時に出陣し、飛龍だけが武勲を立てたのが、十年前の萩との戦だった。
(こんなときに……)
同じことを思ったのか、飛龍は忌々しげに舌打ちをした。
緊迫した顔を見合わせる彼らの元に、宦官がやってきた。案内されるまま、彼らは再び大極宮へと向かった。