恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

大極宮には、すでに多くの人間が集まっていた。

皇帝と皇后、そして宦官や官吏、警吏、兵士たち。主に皇城で働く者たちだ。

「星稜王殿下、魁斗王殿下の御成り!」

鳴鈴たちが大広間に着くと、扉の傍に立っていた番人が声を張りあげた。

扉が開くと、人々が左右に分かれて道を開ける。頭を垂れる彼らの真ん中を、飛龍と李翔は大股で進んだ。鳴鈴は飛龍の陰に隠れるようにして進む。

「よく集まってくれた。皆の者、顔を上げよ」

皇帝が玉座からそう言うと、全員が顔を上げる。彼の前で深く礼をしていた飛龍たちもゆっくりと皇帝を見上げた。

玉座の左横には皇太子が立ち、右横には武皇后が座っていた。

鳴鈴はいきなりケンカを売ったりしないかと飛龍の横顔をハラハラして見上げるが、彼はごく冷静な顔で立っていた。

「もう聞いたと思うが、ここ数年おとなしくしていた萩が動きだしたとの情報が入った。清張(シンチョウ)城が狙われているらしい」

清張城とは、皇城の西に位置する鍾平(ショウヘイ)にある城塞である。萩の攻撃に備え、街を防護する目的でできたそれは、十年前飛龍が守った城塞でもあった。

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