恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

「しかし、情報自体がまだ曖昧で、確認が取れていない。情報は匿名で、しかも書面でよこされた」

「では、信憑性がないということでしょうか」

皇太子が問うと、皇帝は眉根をひそめた。

「そうとも言い切れない。調査をしておくことに越したことはないだろう」

大広間がざわざわとざわめく。このまま大きな戦になったりしたら、という不安が高まっているのを感じる鳴鈴だった。

「では、その調査には誰が行くのです? 鍾平にいる四弟ですか?」

鍾平の地を治めるのは、第四皇子。飛龍とはあまり仲がよくないが、母親が有力貴族出身であり、勉学や武術に励み、最近新たな鍾平王に封ぜられたばかりの努力型の若者だ。

皇太子の問いに、皇帝は首を横に振る。

「あれは清張城に残らせる。調査に行くのは、そうだな……」

皇帝が皇子たちの顔を順番に見る。そして。

「飛龍。やはりお前だ」

皇太子を差し置き、重要な任務に指名されたのは飛龍だった。家臣たちのざわめきが大きくなる。

「今回の任務は、ただの調査ではない。もし萩が本当に兵を動かしていた場合、それを撃退する必要がある」

萩が清張城を落とそうとしているのが誤報ならばそのまま帰ってくればいい。しかし本当なら、戦闘は免れない。

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