恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「お前には五十の兵を与える。それで足りなければ全面衝突する前に退き、清張城で敵を迎え撃て。あそこは堅固な城塞だ。鍾平王だけでは不安だが、お前がいてくれれば百人力だろう」
「そんな」
思わず声を上げてしまった鳴鈴を、皇帝や皇子たちが見つめた。責めるような目線に怯えながら、彼女は口を開く。
「だって、そんな不確かな情報で、五十しか兵を与えられないなんて。星稜王殿下に死ねとおっしゃるのですか」
「そんなわけはない。朕は飛龍を信頼しているからこそ、そう言うのだ。あまりたくさんの兵を動かせば、敵に気づかれやすくなる」
鳴鈴は仕方なく口をつぐんだ。皇帝の隣にいる武皇后が、「これ以上抗弁しないほうがいい」と目で訴えてくるからだ。
「私の妃が出すぎた発言を。申し訳ありません」
やっと当事者の飛龍が口を開く。彼は鳴鈴を、自分の後ろに隠すように立った。
「ですが、陛下。少々私を過大評価されているのではないでしょうか。ここから兵を動かすのであれば、皇太子殿下が相応しいと思います」
「ふむ……しかしなあ」