恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
◇◇
一方鳴鈴は、皇帝に挨拶をしたあとすぐに、星稜王府の馬車が出た北門ではなく、李翔と共に西門から皇都を出発していた。
鳴鈴の話を聞いた翠蝶徳妃が李翔を呼び、協力を要請してくれた。そのとき、李翔は自分一人で出かける気満々だった。
「よし、俺が二兄を連れ戻してくる。徐妃さまは宇春とここで待っていてくれ」
ドンと胸を叩いた李翔の言葉に、鳴鈴は首を横に振った。
「いいえ、一緒に行きます。お願いします」
深く頭を下げる鳴鈴の横で、翠蝶徳妃が優しく口添えする。
「魁斗王殿下、どうか鳴鈴を連れていってやってください。どこにいても危ないなら、一番飛龍の近くに行けるあなたの傍にいるべきです」
「うう……でもなあ……」
李翔は困った顔で頭をぽりぽり掻いた。明らかに足手まといな鳴鈴を連れていくのに躊躇するのは当たり前だ。
「李翔さま、私からもお願いします。星稜王殿下は鳴鈴の愛の力がなければ、きっと救えない。そんな気がします」
見かねて宇春が口出ししてきた。
「愛の力って……宇春、本気で言ってる?」
「本気です。さあ、早く行ってください。馬を飛ばせば、まだ清張城で合流できるかもしれない。星稜王の命を狙うなら、崔の領地ではなく外に出ると考えるべきでしょうから」