恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
つまり、飛龍を襲った下手人を萩軍と思わせるためには、一旦崔の外に出る必要があるということだ。
清張城まではおそらく、飛龍は無事にたどり着くだろう。一日早く出発した飛龍に追いつける可能性は低いが、彼がまだ城に滞在しているかもしれないという一縷の望みにかけ、鳴鈴たちは出発した。
いつも着ている襦裙はひらひらしていて動きにくいため、緑礼と交換した袖の絞られた男物の胡服を着て、重い武器の代わりに横笛を背負った。
皇帝にすべてを話している時間も、皇后が一連の事件の黒幕だという証拠もない。ただ今は、飛龍を救うことが最優先事項だった。
清張城に向かい、最速で馬をとばす李翔。後ろには彼の側近ら、四人の兵士がついてきていた。
「ごめんなさい、巻き込んでしまって」
鳴鈴は姿を隠すための外套を頭の上から被っていた。少し話すだけで、舌を噛んでしまいそうだ。
(私のワガママで、皆を危険にさらしてしまっている)
緑礼は自ら、敵の目をくらませるために替え玉となることを提案してくれた。彼女は無事でいるだろうか。
「巻き込まれただなんて思っていないよ。俺たちはみんな、二兄や徐妃さまが好きだから、自分自身の意志で手を出しているだけさ」
「魁斗王殿下……ありがとうございます」